reef check in yoron 2003 part1
今回も集まってくれました!海を、与論島を想う25名の仲間たち。
当日のスケジュール
開催日: 前日ミーティング 2003/6/13(金)与論島防災センター3F
     : 調査日       2003/6/14(土)茶花北西沖(通称名:電報口)

参加者: 総数25名(内、島外ボランティアダイバー17名 島内ダイバー8名)

当日のコンディション: 天候/晴れ 南西の風やや強し 気温/28℃  
               水温/24.5℃  波/やや強し〜弱  うねり/弱

結果報告会:  2003/6/15(日)与論町 立長公民館(与論まちづくり塾として開催)
今回は参加者が多く、なおかつ初参加者が全体の1/3を占める為、午前中は別ポイントで練習ダイブ
午後は、定点計測ポイントを、浅場班と深場班が1度に同時に調査を行うという方法で行いました。
なお、時間が経つにつれ海況悪化が懸念された為、1ダイブ終了後昼食を取らずインターバルのみを
取り、2ダイブ目を行った。また一般ボランティアがインターバルを取っている間に、現地スタッフおよび
有志の方が、本番計測用のメジャー・フロートを設置し、一般ボランティアの船酔いによるストレスを
軽減することに成功しました。
 9:15〜  茶花漁港集合  器材セッティングおよびチーム分け等、最終確認

 9:45〜  茶花漁港出港  計測ポイント到着 計測用100mメジャー等、設置

10:00〜  魚類班より随時エントリー、計測練習ダイブ開始

10:50〜  計測練習ダイブ終了 計測用100mメジャー等、回収後、茶花漁港に帰港

11:10〜  一般;ダイバーインターバル  スタッフ;計測ポイントメジャー等、設置

12:30〜  茶花漁港出港  計測ポイント到着 浅場・深場の魚類・無脊椎・底質の
         各班が15分おきにエントリー・計測を開始


13:30〜  調査終了した班より、随時エキジット 人数が揃ったボートから随時
         茶花漁港に帰港 


14:50〜  最終班、茶花漁港帰港 随時、昼食・一時解散

16:30〜  結果集計・参加証明証作成(一部スタッフのみ)

19:30〜  居酒屋にて略式結果報告会および親睦会・そして2次会へ・・・
        
どのような調査を?
計測ポイントに生息する魚類(魚類班)・無脊椎動物(無脊柱班)の生息数と、一定間隔
にどのような水底の構成物で覆われているか(底質班)を計測する。
調査方法

調査ポイントを示す100mメジャーを中心に、指定された範囲に
調査対象の魚類がどの程度生息するか、その生息数を計測する。

調査対象魚類

チョウチョウウオ全種・ナポレオンフィッシュ・カンムリブダイ
ブダイ・ハタ類(30cm以上)・サラサハタ・コショウダイ類・
フエダイ全種・ウツボ
魚類調査班
無脊椎動物調査班
調査方法

調査ポイントを示す100mメジャーを中心に、指定された範囲に
調査対象の無脊椎動物がどの程度生息するか、その生息数を
計測する。

調査対象無脊椎動物

パイプウニ・ガンガゼ・アオスジガンガゼ・バイカナマコ・シカク
ナマコ・シャコガイ・イセエビ類・オトヒメエビ・オニヒトデ・ホラガイ
シラヒゲウニ
底質調査班
調査方法

調査ポイントを示す100mメジャーを50cmずつに区切り、その
真下の底質が、どのような構成になっているかを計測する。

調査対象底質の分類

造礁サンゴ・ソフトコーラル・サンゴ死骸(1年以内)・多肉質海藻
(肉厚の葉状の海藻)・海綿・岩(15cm以上の石)・礫(れき)
砂・シルト(粒が感じられない土)・その他
そして、調査結果は?
魚類(生息数)
水深 5m 12m
実施年 03 02 01 00 03 02 01 00
チョウチョウウオ科 7 9 12 - 15 8 6 -
イサキ科 0 0 0 - 0 0 0 -
フエダイ科 0 0 0 - 0 0 0 -
サラサハタ 0 0 0 - 1 0 0 -
ハタ類(30cm以上) 0 0 0 - 0 0 0 -
メガネモチノウオ 0 0 0 - 0 0 0 -
カンムリブダイ 0 0 0 - 0 0 0 -
その他のブダイ科(20cm) 3 9 8 - 0 0 5 -
ウツボ 0 0 0 - 1 0 0 -
無脊椎動物(生息数)
水深 5m 12m
実施年 03 02 01 00 03 02 01 00
オトヒメエビ 0 2 0 - 1 0 0 -
ガンガゼ属 1 4 4 - 8 6 10 -
パイプウニ 19 16 7 - 2 3 4 -
食用ナマコ 0 0 0 - 1 0 0 -
オニヒトデ 0 1 0 - 0 1 1 -
シャコガイ属 22 14 5 - 2 5 2 -
ホラガイ 1 0 0 - 0 0 0 -
イセエビ属 0 0 0 - 0 0 0 -
底質(被覆率%)
分類 5m 12m
実施年 03  02 01 00 03  02 01 00
ハードコーラル(HC) 2 4 3 - 13 9 6 -
ソフトコーラル(SC) 2 1 1 - 4 1 2 -
最近死んだサンゴ(RKC) 1 0 0 - 1 0 0 -
多肉質海藻(FS) 0 6 2 - 28 16 24 -
海綿(SP) 0 0 0 - 0 0 0 -
岩(RC) 84 80 86 - 44 69 41 -
礫(RB) 3 1 0 - 4 1 5 -
砂(SD) 8 7 9 - 5 4 23 -
シルト(SI) 0 0 0 - 0 0 0 -
その他(OT) 0 0 0 - 1 0 0 -
底質(被覆率%)
分類 5m 10m
実施年 03 02 99 03 02 99
ハードコーラル(HC) 29.4 28.2 21.3 31.3 25.6 18.8
ソフトコーラル(SC) 3.1 1.9 1.3 2.5 0.0 5.0
最近死んだサンゴ(RKC) 0.6 0.0 41.3 0.0 0.0 45.0
富栄養化の指標となる海藻(NIA) 0.6 0.6 0.0 0.6 1.6 0.0
海綿(SP) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
岩(RC) 66.3 68.8 26.3 62.5 60.6 27.5
礫(RB) 0.0 0.0 0.0 0.0 11.3 0.0
砂(SD) 0.0 0.0 0.0 0.0 11.3 0.0
シルト(SI) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.3
その他(OT) 0.0 0.6 10.0 1.3 0.6 0.0
この調査ポイント(通称:電報口)は、以前1日3ダイブをされるお客様に「浅瀬できれいな
サンゴを見に行こう。」と、よく潜ったポイントです。一面ハナヤサイサンゴやツツユビミドリ
イシ、オヤユビミドリイシなどミドリイシ科のハードコーラルで覆われていたポイントです。
計測した訳では無く詳しい数値で表すことができませんが、ハードコーラルの被覆率は
60%を越えるのでは?と思わせるほどのポイントでした。しかし皆さんご存知の’98に
起こった水温の異常上昇によるサンゴの白化現象で壊滅的被害を受けてしまいました。
 大規模な白化現象から3年目より、このポイントでのリーフチェックが始まり今年で3年
(サンゴの白化からは6年)が、過ぎようとしているが、一向にサンゴの被覆率が回復
方向に、向かっていないように思えます。これは全ての地域で同じようなことが言える
のでしょうか?そこで与論島に程近く同規模で、沖縄本島付近の離島のデーターと比較
してみました。
(コーラルネットワークHPより)
当HP管理人の、調査結果から感じ取る、個人的な意見
比較した島の環境が、与論島とまるっきり同一ではないので一概には言えないが、10m前後の
ハードコーラルの被覆率の増加が、目に見えて早いのがわかります。また逆に、与論島が目に
見えて遅いとも言える気がして仕方が無いのです。では、与論島全体がサンゴの成長に適して
いないのか?しかし前に述べたように’98以前はハードコーラルで埋め尽くされた状態を、管理人
も確認済みなのです。ならば、ポイント的にサンゴが増えない状況であるのか?リーフチェックで
調査したポイントから、それほど離れていないポイント(しかもよくFunダイブ等で利用されるポイント)
で独自の方法を用い、サンゴの成育度を調査してみました。
ポイント@;  1993年5月に新たなダイビングポイントの開発の為、沈められた“あまみ”は
         全長約51mの旧巡視艇。今年でちょうど10年を迎える。あまみに触る為には
         深度35mをとらなくてはならないが、その深度でもサンゴが着生・成育している
         様子を見ることができる。リーフチェックが行われているポイントより100mほど
         東側のポイントである。(100mしか離れていないポイントでもある。)

調査方法  ;深度が深い為、長時間の調査は不可能なので、スタッフが指示した範囲にある
         サンゴを、グループ分けした参加者に2〜3個体任意に選択してもらい、その
         大きさを、下の写真のように計測した。
潜水堂のサンゴ成育調査
調査日     ;  2003/6/13
調査ポイント ;  @沈船“あまみ”  A茶花海中宮殿(オアシス・茶花沖)
調査メンバー;  竹内浩一・幸 濱口雅春さん 大沼雅義さん 黒木逸子さん
            石倉真理子さん 田野城ゆかりさん 岩井貴美さんの総員8名
             
調査は3名1チーム構成の、2チーム体制で
行った。深度が深く、迅速に調査をしなくては
いけない為、3名の役割(照明・計測・記録)
を分担し、調査した。減圧不要限界の制限の
中で、各チームが2〜3個体のサンゴの大きさ
(横方向・高さ方向)の行い、下記のような
調査結果を残すことができた。 なお左の写真
のみ計測時間の関係上、浅場に戻ってから
調査をいている様子をイメージできる為に撮った
写真であり、実際の計測ポイントで撮った写真
ではありません。
個体識別記号 横方向の大きさ 高さ方向の大きさ
19cm 8cm
24cm 8cm
30cm 8cm
27cm 7cm
26cm 6cm
識別記号A・Bは深度35mC・D・Eは36,5m付近に位置する個体であるが、その程度の
深度の差では成育に大きな影響をもたらす要因にはならないと、考えられます。
ここで一つの仮説を立ててみたいと思います。 沈船“あまみ”が沈められて本年の5月で、
ちょうど10年。そして一般的にサンゴの産卵が行われるのは、毎年6月頃といわれています。
10年前の5月に沈められた“あまみ”に、6月に産卵したサンゴの卵が着生し、成育したと
したなら、ちょうど10年間で現在の姿になっていると考えても良いでしょう。今回測定した
1番大きなサンゴ(個体識別記号C:赤文字記載)が、それだとすれば単純計算で、年間
横方向に3cm高さ方向に0.8cm育っているのでは?と、考えてよいと思います。もちろん
サンゴの種類(計測したのは、ハナヤサイサンゴと思われます。)によっても成育度は違うと
思いますが、35〜6mの深度でこれだけ早く成育できるポイントと、そうでないポイントがあり
ポイント同士はそれほど離れていないのに、これだけの差が生じるのは特別な要因がある
のでは?と、考えざるおえないのが率直な感想です。


しかしこのような反論が出ることも考えられます。「98年の白化の前に、ある程度まで
育ち、その後の生育度は周りと同じく低いのではないか?」もちろん今まで毎年のように
計測した訳ではないので、“あまみ”のデーターはあくまでも仮説でしかありません。
(しかし、反論の通りであれば驚異的な生育度であるのだが・・・)では、98年以降で確実に
サンゴの成育が確認できるポイントはと?それがあったのです。そこは《茶花海中宮殿》です。
島内のサービスによっては「オアシス」または「茶花沖」とも呼ばれています。



ポイントA  ;もともと砂地とサンゴがキレイなポイントである。99年の春先より与論島の
         ダイビング組合のイベントの一環としてギリシャの神殿をモチーフにした、
         コンクリート製の柱を3年間(’99・’00・’01年)にわたり、1本ずつ砂地の水底に
         設置した。本年7月に本殿を設置し、完成に至る。00年の夏頃よりコンクリートの
         地肌に幼サンゴが着生し、成育しているのを確認。年を追うごとに成育の様子を
         うかがい見ることができる。また、柱を設置した年数で成育の差を確認することも
         できる。リーフチェックが行われているポイントより200mほど、東側のポイントで
         ある。(200mしか離れていないポイントとも言える。)

調査方法  ;このポイントは、比較的深度も浅めで、調査にかける時間も多めに取れたが、柱に
         よってはサンゴの数が多すぎ、個体を識別するのは不可能に近い状態である。
         そこで2〜3名を1チームにし、各チーム柱を1本ずつ担当してもらい、一定時間内に
         (15分)ランダムに、サンゴの大きさとその数を計測する方法を用いた。
         また、計測時間を終了した後、各チームが自分たちが担当した以外の柱を観察し
         そのサンゴの数と大きさの違いを、目測ではあるが確認した。
サンゴの大きさは上の写真にように定規を
当て直径方向の大きさを測定した。
左の写真は宮殿の柱の設置した年を表した
もの。1番古い’99年の柱のサンゴが1番
大きく成育している傾向にあり、新しい柱ほど
小さい傾向にある。また古い柱ほど多く着生し
年を追うごとに数が少なくなってくる。
’99年の柱は、いずれ柱全体がサンゴで
覆われ「サンゴの柱」になる事を予感させられる
ほどである。
各年度の青文字は、計測結果より1番多かったサイズ・赤文字は1番大きかったサイズです。
柱の設置年度  3cm  4cm  5cm  6cm  7cm  8cm  9cm 10cm 11cm 12cm
1999
2000 10
2001 10
このポイントは深度12〜18mと、リーフチェックを行っているポイントとほぼ同じ環境と言っても
問題ないと思われます。違いは茶花の市街地の正面から200mほど東側にずれている事と、
ドロップオフ(深度が急に落ち込む、崖のような地形)までの距離が近いというだけです。もちろん
これだけ環境が違えば、生態系の大きな違いがでるのかも?しかし与論島のその他のポイントに
比べてみると、はるかに近い環境だと言えます。そこで注目して欲しい事は、サンゴの白化現象が
起きた1998年以降に設置された人工の造形物にも、順調にサンゴが着生・成育している様子が
うかがえることです。上記の表からもわかるように、設置した柱の年数を追うごとに、サンゴの大きさ
最大値および平均値)大きくなっており、毎年順調に育っていることが、うかがえます。これは
1998年のサンゴの白化現象以降でも、与論島がサンゴが成育できる環境であると言うことを、
充分に証明できる調査結果ではないかと思っています。



それではなぜ、リーフチェックの調査ポイント(実は、その他のポイントも含みますが。)のサンゴの
生育度が低いのか?

私もサンゴの生態についての専門家ではありませんが、水質等が与える影響が多大にあるのでは?
と、考えざるを得ません。また、1ヵ月後に迫った《reef check in yoron part2》に参加される皆さんとも
話し合って見たいと思います。その際は、ぜひ与論生まれの与論育ちである、生粋の与論島民の方
にも(特に行政・漁業・農業・畜産業・建設業に従事されている方など)参加して頂けばと、個人的には
考えております。このような事を真剣に考えなくてはいけないのは、本来与論島に住んでいる与論島民
自身なのですから。
最後にチーム潜水堂に参加していただいたメンバーです。
(渡辺さんはリーフチェック・コーディネーターとして、コメントを頂きました)
お名前 リーフチェックに参加して思うこと
 渡辺 暢雄さん

 (リーフチェック・
     コーディネーター
毎回、島外・島内から国内最高の参加人数を迎える与論島
リーフチェック。いかに多くの人が与論の海に、魅せられ
そして守っていこうとしているかが良くわかります。
これからもみんなの力で素晴らしい与論の海を楽しみながら
見守っていきましょう!
大沼 雅義さん 与論島やほかの南の島々のさんご礁の消滅の状況や
でも少しずつ復活もしていることなど学ぶこともありました。
民宿のおばさんから、むかしはテーブルサンゴの近くを
通り、沖まで歩いていった、などと聞かされるとなんか
悔しいですね。時間がかかってもヨロンのサンゴが復活
しますように。
黒木 逸子さん 与論は4回目ですが、RCは初参加でした。何度か潜った
ポイントでもいつもと違う視点で見ることができました。
今回は魚類担当でしたが,底質や無脊椎でもまた違った
角度で海をみることができるだろうなと感じました。
田野城 ゆかりさん 今回が初めてのリーフチェック体験になりました。
参加する前はちょっと不安で、ちゃんとできるか足手まとい
にならないか?心配しましたが、参加してみるとみんなが
お互い助け合い考え合い、何の問題もなく参加できました!
この経験がなかったら「与論の海の自然」のことをよく考える
機会もなく潜っているだけだったと思いますが、これからは
もっと別の角度から、違う視点でファンダイビングを楽しめる
ことができます。与論の皆さん、RCの仲間たち、ありがとう☆
岩井 貴美さん RCは今回が初参加でした。今までは何気なく潜って
いる事が多かったのですが、この経験を通し目的を
持って潜ることで、いつもとは違う視点から海を見られる
ようになったのと、無脊椎班だったので、自分で探す
楽しさを覚えることができました。さらに、いい仲間との
出会いもあり与論やダイビングがますます好きになりました。
No Photo 石倉 真理子さん 私はインストラクター資格持っているのですが、ただ海の
中でポケーってするのが好きで、今まで魚とかにもあまり
興味なく、サンゴが死んでるかどうかも分りませんでした。
白化しかけたサンゴ見てきれいって思ったりしてました。
リーフチェックに参加して私にとってダイビングがいろんな
意味で大きな存在になりました。ステキな仲間もいっぱいでき
かりゆしも最高。楽しかったです。
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