開催日: 前日ミーティング 2003/11/14(金)与論島防災センター3F : 調査日 2003/11/15(土)供利漁港・南東沖 参加者: 総数24名(内、島外ボランティアダイバー17名 島内ダイバー7名) 当日のコンディション: 天候/晴れ 東の風やや強し 気温/26℃ 水温/25℃ 波/少々〜やや強し うねり/やや強し 結果報告会: 2003/11/15(土)与論島防災センター3F |
今回もボランティアダイバーの参加者が大半を占め、また初参加者が全体の1/4を数える為、午前中は 別ポイントで練習ダイブ。午後は、定点計測ポイントを、浅場班と深場班が1度に同時に調査を行うという 方法で行いましたが、前回同様に海況悪化が懸念された為、1ダイブ終了後昼食を取らずインターバル のみを取り、2ダイブ目を行いましたた。また前回と同じく、一般ボランティアがインターバルを取っている 間に、現地スタッフおよび有志の方が、本番計測用のメジャー・フロートを設置する方法を用い一般ボラン ティアの船酔いによるストレスを軽減することに成功しました。 |
9:15〜 供利漁港集合 器材セッティングおよびチーム分け等、最終確認 9:40〜 供利漁港出港 計測ポイント到着 計測用100mメジャー等、設置 10:00〜 魚類班より随時エントリー、計測練習ダイブ開始 11:30〜 計測練習ダイブ終了 計測用100mメジャー等、回収後、供利漁港に帰港 12:15〜 一般;ダイバーインターバル スタッフ;計測ポイントメジャー等、設置 13:10〜 供利漁港出港 計測ポイント到着 浅場・深場の魚類・無脊椎・底質の 各班が15分おきにエントリー・計測を開始 13:30〜 調査終了した班より、随時エキジット 人数が揃ったボートから随時 供利漁港に帰港 15:00〜 最終班、供利漁港帰港 随時、昼食・一時解散 16:30〜 結果集計・参加証明証作成(一部スタッフのみ) 18:00〜 防災センターにて結果報告会 20:00〜 居酒屋にて親睦会・そして2次会へ・・・ |
水深 | 5m | 12m | ||||||
実施年 | 03 | 02 | 01 | 00 | 03 | 02 | 01 | 00 |
オトヒメエビ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
ガンガゼ属 | 0 | 0 | 21 | 10 | 5 | 1 | 3 | 0 |
パイプウニ | 7 | 8 | 3 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 |
食用ナマコ | 0 | 0 | 0 | - | 1 | 0 | 0 | 1 |
オニヒトデ | 0 | 1 | 0 | - | 0 | 1 | 0 | 0 |
シャコガイ属 | 12 | 6 | 12 | 10 | 12 | 13 | 10 | 10 |
シラヒゲウニ | 0 | - | - | - | 0 | - | - | - |
ホラガイ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
イセエビ属 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
水深 | 5m | 12m | ||||||
実施年 | 03 | 02 | 01 | 00 | 03 | 02 | 01 | 00 |
チョウチョウウオ科 | 7 | 16 | 27 | 0 | 27 | 22 | 31 | 36 |
イサキ科 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
フエダイ科 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
サラサハタ | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
ハタ類(30cm以上) | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 |
メガネモチノウオ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
カンムリブダイ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
その他のブダイ科(20cm) | 3 | 8 | 16 | 0 | 7 | 5 | 5 | 0 |
ウツボ | 0 | 1 | 3 | - | 1 | 0 | 0 | - |
分類 | 5m | 12m | ||||||
実施年 | 03 | 02 | 01 | 00 | 03 | 02 | 01 | 00 |
ハードコーラル(HC) | 15 | 21 | 20 | 20 | 37 | 23 | 41 | 38 |
ソフトコーラル(SC) | 1 | 1 | 0 | 3 | 1 | 1 | 2 | 1 |
最近死んだサンゴ(RKC) | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 |
富栄養価指標藻類(NIA) | 2 | 4 | 4 | 3 | 12 | 2 | 7 | 2 |
海綿(SP) | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
岩(RC) | 83 | 73 | 74 | 72 | 45 | 69 | 44 | 53 |
礫(RB) | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 1 | 1 | 3 |
砂(SD) | 0 | 1 | 1 | 1 | 3 | 3 | 2 | 1 |
シルト(SI) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
その他(OT) | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 |
今回は、こんなポイントです。 |
そして、計測結果は・・・ |
今回のリーフチェックの特色 |
今回より計測にあたり、追加・変更箇所がありました1つ目は、 無脊椎計測班にシラヒゲウニの計測が追加されました。これは 食用になるウニの一種で、世界的に見ても激減している種類 だそうです。これは与論島にも言えることで、10年前にはかなりの 数が確認されていたのがここ7〜8年ぐらい前からはあまり見る ことがなくなりました。また、与論の漁協においても禁漁に指定 されている記憶があります。 また底質調査班の対象である多肉 質海藻(FS)が富栄養価指標藻類(NIA)に、改められました。 こちらは、名称だけの変更で実際の計測は、今まで通りです。 学術的な記述では、新しい名称の方が分類しやすいそうです。 (私には、よくわかりません!!) |
測定結果からの考察 |
魚類・無脊椎動物・底質の各計測結果は、ここ数年間、数値的な変化は見受けられず、横這い 状態といって良いのでは?言うのが、大半の参加者からの意見でした。増えも減りもしない状態 ならば良いのでは?と考えて、本当に良いのでしょうか?確かに5年前の“サンゴの現象のとき のように、目に見えてサンゴの状態が悪くなったと言うことはありません。しかし、その後育つべき はずのサンゴが育っていないのも確かなのです。与論島を含む、南西諸島の島々全てが同じ 傾向にあるのであれば、自然現象の1つとして考えることもできるのですが、決してそうではない と言う結果報告が、他の島々で行われているリーフチェックの測定結果からうかがい知ることが できます。 |
分類 | 3m | 10m | ||||||||||||
実施年 | 03 | 02 | 01 | 00 | 99 | 98 | 97 | 03 | 02 | 01 | 00 | 99 | 98 | 97 |
ハードコーラル(HC) | 63.1 | 52.5 | 34.4 | 26.9 | 22.5 | 37.5 | 58.8 | 61.3 | 43.8 | 46.9 | 46.3 | 21 | 45.6 | 63.1 |
ソフトコーラル(SC) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 2.5 | 0.6 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 7.5 | 0.6 | 0.6 | - | 4.4 | 1.3 |
最近死んだサンゴ(RKC) | 0.0 | 0.0 | 7.5 | 0.6 | 30.6 | 54.4 | 31.3 | 0.0 | 0.0 | 3.1 | 2.5 | - | 28.1 | 23.1 |
富栄養価指標藻類(NIA) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | - | 0.0 | 0.0 |
海綿(SP) | 0.6 | 0.6 | 0.0 | 0.0 | 0.6 | 1.3 | 0.0 | 0.0 | 0.6 | 0.0 | 0.0 | - | 1.3 | 0.0 |
岩(RC) | 36.6 | 46.9 | 54.4 | 66.9 | 34.4 | 6.9 | 9.6 | 37.5 | 47.5 | 45.0 | 47.5 | - | 19.2 | 12.5 |
礫(RB) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 1.3 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.6 | 0.0 | 1.9 | 2.5 | - | 0.6 | 0.0 |
砂(SD) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.6 | - | 0.0 | 0.0 |
シルト(SI) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | - | 0.0 | 0.0 |
その他(OT) | 0.0 | 0.0 | 3.8 | 1.9 | 10.6 | 0.0 | 0.0 | 0.6 | 0.6 | 2.5 | 0.0 | - | 0.0 | 0.0 |
分類 | 5m | 10m | ||||
実施年 | 03 | 02 | 99 | 03 | 02 | 99 |
ハードコーラル(HC) | 29.4 | 28.2 | 21.3 | 31.3 | 25.6 | 18.8 |
ソフトコーラル(SC) | 3.1 | 1.9 | 1.3 | 2.5 | 0.0 | 5.0 |
最近死んだサンゴ(RKC) | 0.6 | 0.0 | 41.3 | 0.0 | 0.0 | 45.0 |
富栄養化の指標となる海藻(NIA) | 0.6 | 0.6 | 0.0 | 0.6 | 1.6 | 0.0 |
海綿(SP) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
岩(RC) | 66.3 | 68.8 | 26.3 | 62.5 | 60.6 | 27.5 |
礫(RB) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 11.3 | 0.0 |
砂(SD) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 11.3 | 0.0 |
シルト(SI) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 1.3 |
その他(OT) | 0.0 | 0.6 | 10.0 | 1.3 | 0.6 | 0.0 |
これがシラヒゲウニです。 ほとんどが10cm以下の個体が 多いようです。藻や小石などを、体に 付け、カモフラージュすることが得意。 |
ここでは、スペースの関係と、“サンゴの生息数(率)”と言う視点から顕著にわかりやすい「底質」の 調査結果のみを比較してみました。サンプルAの島では、国内のリーフチェックの歴史が長く’97 からの調査結果が残っています。これは、サンゴの白化現象の年以前とその後を比較する為には とても貴重なデータです。このポイントは毎年はぼ6月に調査が行われているようで、’98には白化 の影響が出始め、’99には白化後の重大な被害の様子が、顕著な数値で表されています。しかし 驚くべき数値は’00以降なのです。その驚異的な回復力は目を疑うほどです。台風の影響等で多少 の上下はしつつも、今年のデータは’97と同等かそれ以上の数値になっています。またサンプルBの 島は、白化の翌年からのデータですがAの島ほどではなくとも、着実に回復していることを表している 数値だと思われます。 |
管理人が個人的に問題だと思っているのは(同じ考えを 持っている方も多いと思いますが・・)与論島における サンゴの回復力の低さです。もちろん島々の成り立ちや その海域の海流など、条件がまるっきり同じでは無い ですが、同じ南西諸島の島であって、なぜ?ここまでも 回復力に差があるのであろうか。右の小さな地図の中に 比較したA島・B島が入っているのは確かなのです。 しかし、以前の与論島はこのような状態では無かった はずです。キレイなサンゴの間に戯れる、多くの熱帯魚。 そんな姿を、今の大人は目にしているはずなのです。 ぜひ、そのような状態を後世の人たちにも残さなくては いけないのではないでしょうか? |
でも、残す努力をしなくてはいけないのは、現代に生きている「大人」が何かをしなくては・・・ 海その物の環境や、海の環境に与える陸上の要因。 ただ個人の力ではどうにもならないことも多い のは事実です。 我々、海に携わる者は、海の中の環境の変化を、海の中を見ることができない 人たちに伝え広げる役割をしているつもりです。 ですから多くの人たちが、この声を聞く耳と しかるべき行動をとる努力をしていただきたいと思います。(もちろん私たちも含めて。) |
大きく取り正されてはいないが 毎年のようにサンゴの白化は起きている。 |
環境に影響を与えるものは 意外と身近にあることが多い。 |
いつまでも魚に囲まれる ことができる島であってほしい。 |
今回も多くのダイバーの協力がありました。 他の島の、リーフチェックにも参加した事がある ダイバーも多く参加し「与論島は結構きているよ。」と、なげく方もいれば、「まだ、大丈夫。でも、 今のうちに何とかしなくちゃね。」と感想を述べるダイバーも。いろいろな意見が飛び交っている。 あとは地元の人間が何とかしなければいけないと思う。 参加者の皆さん、有難うございました。 |