reef check in yoron 2004 臨時開催!
開催日: 前日ミーティング 2004/7/6(火)島内・ダイビングショップ
     : 調査日        2004/7/7(水)茶花漁港・北西沖

参加者: 総数9名(内、島外ボランティアダイバー3名 島内ダイバー6名)

当日のコンディション: 天候/晴れ 西の風やや強し 気温/30℃  
               水温/27℃  波/やや強し  うねり/やや強し

結果報告会:          2004/7/7(水)与論島防災センター3F
魚類(生息数)
水深 5m 12m
実施年 04 03 02 01 00 04 03 02 01 00
チョウチョウウオ科 8 7 9 12 - 11 15 8 6 -
イサキ科 0 0 0 0 - 0 0 0 0 -
フエダイ科 0 0 0 0 - 0 0 0 0 -
サラサハタ 0 0 0 0 - 0 1 0 0 -
ハタ類(30cm以上) 0 0 0 0 - 3 0 0 0 -
メガネモチノウオ 0 0 0 0 - 0 0 0 0 -
カンムリブダイ 0 0 0 0 - 0 0 0 0 -
その他のブダイ科(20cm) 16 3 9 8 - 13 0 0 5 -
ウツボ 1 0 0 0 - 1 1 0 0 -
無脊椎動物(生息数)
水深 5m 12m
実施年 04 03 02 01 00 04 03 02 01 00
オトヒメエビ 0 0 2 0 - 4 1 0 0 -
ガンガゼ属 0 1 4 4 - 2 8 6 10 -
パイプウニ 2 19 16 7 - 1 2 3 4 -
食用ナマコ 1 0 0 0 - 0 1 0 0 -
オニヒトデ 0 0 1 0 - 0 0 1 1 -
シャコガイ属 3 22 14 5 - 8 2 5 2 -
シラヒゲウニ 0 - - - - 0 - - - -
ホラガイ 0 1 0 0 - 1 0 0 0 -
イセエビ属 0 0 0 0 - 0 0 0 0 -
底質(被覆率%)
分類 5m 12m
実施年 04 03  02 01 00 04 03  02 01 00
ハードコーラル(HC) 13 2 4 3 - 19 13 9 6 -
ソフトコーラル(SC) 3 2 1 1 - 1 4 1 2 -
最近死んだサンゴ(RKC) 0 1 0 0 - 0 1 0 0 -
富栄養価指標藻類(NIA) 4 0 6 2 - 43 28 16 24 -
海綿(SP) 1 0 0 0 - 0 0 0 0 -
岩(RC) 78 84 80 86 - 29 44 69 41 -
礫(RB) 0 3 1 0 - 0 4 1 5 -
砂(SD) 0 8 7 9 - 7 5 4 23 -
シルト(SI) 0 0 0 0 - 0 0 0 0 -
その他(OT) 0 0 0 0 - 0 1 0 0 -
そして、今回の調査結果は・・・
6月の定期開催のリーフチェックは、残念ながら台風6号の為、中止に。
しかし、今まで一度の中止もなく積み重ねてきたデーターが、一時的にも
途切れてしまうのは・・・ そこで、臨時のリーフチェックが7月に開催となりました。
今回のリーフチェックは、臨時開催と言うこともあり、一般ボランティアダイバーの公募もなく
ほとんどが島内のプロレベルのダイバーと、遊びに来られていたベテランダイバー2名&
与論島のリーフチェックには欠かせない、コーラルネットワークの渡辺さんという、ほとんど
仲間内による開催となってしまいました。参加希望されていた方ゴメンナサイ!!
今回は、ほとんどの参加者がプロレベルと言うことと、海況があまり良くないと言うことをあわせ
1ダイブで浅場と深場を一度に計測することになった。そのため1カテゴリー(例:浅場の魚類)を
1〜2名で調査をすることになった。

魚類調査班では、例年と比べ、チョウチョウウオ類の数は大幅な変化はないが、ブダイ類・ハタ類の
数が増加傾向にあった。

無脊椎生物調査班では、深場については例年と比べ極端な変化は見受けられなかったが、浅場に
関しては、パイプウニ・シャコガイ類の減少が、多少気になる状況である。

底質調査班では、浅場・深場ともにハードコーラルの増加傾向が目に付く要素であった。しかし深場
における富栄養価指標藻類の大幅な増加も、見逃すことが出来ない大きな要因である。
調査結果からの考察
昨年行われた、茶花漁港・北西沖の調査結果に比べると、魚類
(特にブダイ類)の生息数およびハードコーラルの被覆率(特に
浅場ポイント)の数値が、かなりの割合で上昇傾向にある。
これは1998年に起きた、世界的なサンゴの白化現象から早くも
6年目となり、遅ればせながら与論島のサンゴも回復傾向にある
のでは?と考えることもできる。それと伴い魚類(ブダイ類)も
増加傾向にあると考えても良いのかもしれない。しかし、この
文章や上記調査結果の数値を見ていただいた皆さんが描いた
ビジュアルは、どのようなものでしょう?調査したポイントの1〜
2割がきれいなサンゴに覆われている状態を、想像しているに
違いがないと思います。しかし実際は、左の写真の状態である。
実際のサンゴの生息個体数は多くなっているのは事実であるようだが、個体1つ1つの大きさは、まだ
5cm未満のものが多く、まだお世辞にも「サンゴがいっぱいになって、きれいになった」とは言えない状態
である。しかも注目すべき点は、底質調査の〈富栄養価指標藻類〉の急激な増加傾向である。〈富栄養価〉
という言葉の響きから受ける印象は「栄養に富んでいるので、良いことでは?」と考える方がほとんどでは
ないか?
と思われるが、実際は自然界の海中における栄養分のバランスが崩れるほど海中に必要のない
物質が、陸上より流れ込んでいる
のである。たまたま海藻類にとってだけは良い環境となりうる為、生息
数が多くなっているのである。当HPの管理人の勝手な推測ではあるが、微小ながらサンゴの生息数は
増加傾向にあり喜ばしいことではあるが、本来取り戻すべき〈海の健康状態〉という観点から言うと、とても
よい状態になったと言えないのではないかと思えて仕方がないのである。〈海の健康状態〉が良くなる
ことが出来れば、おのずときれいなサンゴに満ち溢れ、多くのサカナたちが舞い泳ぐ、熱帯の豊かな海に
なるはずでは?と思えて仕方がありません。ただし一つ付け加えておくと、与論島の全ての水域のサンゴが
危険な状態になっているわけではなく、順調に生育している様子がうかがえる水域もあるのです。
では、なぜその差が出来てしまうのか?その原因を早く突き止めたいものです。
今回のリーフチェックは・・・
魚類の生息数およびサンゴの被覆率の増加という、少なからずとも良い結果に終わったと思います。
また、無脊椎動物のカテゴリーの〈パイプウニ〉〈シャコガイ類〉の激減は、今回だけの一時的な現象
なのかどうかを次回の調査で確認したいと思います。今回は例年よりぐっと少ない人数で調査担当を
割り振らなければならなかったため、無脊椎調査に慣れた参加者が、浅場の無脊椎調査班にひとりも
いなかったことにその原因があったかも知れません。ですので、すぐに「乱獲による減少」と考える
ことはないと思います。一過性のものであることを期待したいところです。今回は臨時開催だったため
全体人数も経験豊富なボランティアダイバーも極端に少ない中での実施でした。次回以降は海況も良く
多くのボランティアダイバーの協力の下、より精度の高い結果を導き出すことが出来ればと願っています。
ぜひ、今後とも多くのダイバーのご参加をお待ちしています。

また、今回特に喜ばしかったことは、地元住民の関心が高くなってきたということです。すでに「潜水堂
日記」でも触れましたが、結果報告会には今までに無い人数の地元住民が参加されて、現在の与論島の
海の状態を確認していただきました。いくら我々ダイバーが一生懸命に調査を行っていても、その結果を
どの様に反映させるかは、地元住民(私を含めて)かかっていると思います。今後とも与論島の現状を
理解してもらうためにも、地元の方々の参加を希望したいです。今回は商工会の方々を中心に、10名
以上もが報告会に参加していただきました。今後は漁業関係者や行政に携わる方のご参加も希望したい
です。実際に海に携わっている方にも考えてもらいたい問題でもあるし、海だけの問題ではないと分かり
つつある現段階において、行政という大きな力が必要になるのは、目に見えていることですから・・・
地元住民も10名以上と過去最高の
参加となった結果報告会
最後に、いま「大人」と呼ばれている世代の、地元住民の方へのお願いです。
「昔はもっと海がきれいだった。」とか「サカナもっと捕れたのに・・・」とか「そこらじゅうサンゴでいっぱい
だったよ。」などという方がほとんどのように思えます。しかし、昔は良かったという話ばかりで良いので
しょうか?私も良かった頃の与論の海を見てみたと思いますし、これからの世代の子供たちに、昔ばなしを
するばかりで良いのでしょうか?良かった頃の与論の海を、子供たちに残したいと思いませんか?
そんな「地元の大人の人」の賛同をお待ちしています。
などと考えていたところ、「与論のサンゴを復活させて、海の生態系を守っていこう。」という活動が、動き
始めたと言う情報が入ってきました。これはとても良い方向性で、とても喜ばしいことだとあると思います。
海で仕事をさせてもらっている私たちも、出来る限りの協力をしていきたいと思います。
交流会の最中も、しっかり
意見交換の場となりました
私たちダイバーも、今回の結果報告を
聞き、いろんな思いを抱きました。
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