Reef Check2004Part2
今回のリーフチェックは、一般ボランティアダイバーの募集をしましたが、残念ながら島外の
ボランティアダイバーの参加がありませんでした。しかし島内の一般ダイバーの参加が増え
スタッフを含めた参加者の合計は11名。地元の人の関心が高まってきたことを示している
今回のリーフチェックでした。 また沖縄でサンゴの研究をなさっている入川暁之氏をチーム
サイエンティスト(専門的な科学者)に迎え、久し振りに本格的に科学者からの意見を伺える
ことができたリーフチェックになりました。

今回も例年通り6月のリーフチェック(以下RC)は、北側の茶花漁港北西沖のポイントで
調査をしました。ライセンス取得後の初ダイブが、今回のリーフチェックダイブと言う方も
いましたが、さすが与論島の島人(シマンチュ・生まれも育ちも与論島の方)慣れ親しんだ
与論の海をしっかり調査されていました。参加者が11名だったと言うことで午前中に深場
浅場の調査ポイントを1ダイブずつ合計2ダイブ言うタイムスケジュールで行われました。
地元ダイバーの意識が高まったぞ!!
移住組みのベテランダイバーと
サイエンティストの入川氏
観光協会長と現地ガイドダイバー
お2人は生粋のシマンチュです
リーフチェックは初挑戦。
現在与論在住のタビンチュダイバー
魚類(生息数)
水深 5m 12m
実施年 05 04 03 02 01 00 05 04 03 02 01 00
チョウチョウウオ科 13 8 7 9 12 - 6 11 15 8 6 -
イサキ科 0 0 0 0 0 - 0 0 0 0 0 -
フエダイ科 0 0 0 0 0 - 0 0 0 0 0 -
サラサハタ 0 0 0 0 0 - 0 0 1 0 0 -
ハタ類(30cm以上) 0 0 0 0 0 - 0 3 0 0 0 -
メガネモチノウオ 0 0 0 0 0 - 0 0 0 0 0 -
カンムリブダイ 0 0 0 0 0 - 0 0 0 0 0 -
その他のブダイ科(20cm) 11 16 3 9 8 - 11 13 0 0 5 -
ウツボ 0 1 0 0 0 - 0 1 1 0 0 -
無脊椎動物(生息数)
水深 5m 12m
実施年 05 04 03 02 01 00 05 04 03 02 01 00
オトヒメエビ 0 0 0 2 0 - 0 4 1 0 0 -
ガンガゼ属 2 0 1 4 4 - 2 2 8 6 10 -
パイプウニ 16 2 19 16 7 - 1 1 2 3 4 -
食用ナマコ 0 1 0 0 0 - 0 0 1 0 0 -
オニヒトデ 2 0 0 1 0 - 0 0 0 1 1 -
シャコガイ属 10 3 22 14 5 - 10 8 2 5 2 -
シラヒゲウニ 0 0 - - - - 0 0 - - - -
ホラガイ 0 0 1 0 0 - 0 1 0 0 0 -
イセエビ属 0 0 0 0 0 - 0 0 0 0 0 -
底質(被覆率%)
分類 5m 12m
実施年 05 04 03  02 01 00 05 04 03  02 01 00
ハードコーラル(HC) 7 13 2 4 3 - 13 19 13 9 6 -
ソフトコーラル(SC) 2 3 2 1 1 - 2 1 4 1 2 -
最近死んだサンゴ(RKC) 0 0 1 0 0 - 1 0 1 0 0 -
富栄養価指標藻類(NIA) 5 4 0 6 2 - 32 43 28 16 24 -
海綿(SP) 0 1 0 0 0 - 0 0 0 0 0 -
岩(RC) 85 78 84 80 86 - 44 29 44 69 41 -
礫(RB) 0 0 3 1 0 - 1 0 4 1 5 -
砂(SD) 1 0 8 7 9 - 7 7 5 4 23 -
シルト(SI) 0 0 0 0 0 - 0 0 0 0 0 -
その他(OT) 0 0 0 0 0 - 0 0 1 0 0 -
今回の調査結果より専門家から、以下のような見解を頂くことができました。
@ サンゴ類の回復は緩やかに進んでおり、目に見える変化が現れるにはもう少し時間が
   必要である。食害生物・病気発生状況・幼群体の成育状況など、サンゴ類の回復過程
   を記録できるような工夫が望ましい。

A 海藻類の出現頻度が高くなっている。優占種を記録しておくことで、富栄養化など水質の
   変動についても情報が得られる可能性がある。

B ブダイ類が増加傾向にある。チョウチョウウオ類は食性を分けて記録できれば、底質の
   変動も記録できる。

C 対象生物の長期的な記録によって個体数の変動幅が把握できれば「大発生」などの
   異変に対する有効な情報となるため、リーフチェック活動は重要な意味を持つ。
気になる今回の調査結果は・・・
リーフチェックと同じ日に行われた、ビーチクリーンアップに参加した方も、結果報告を聞きに来ました。
当サイトの管理人の個人的な見解
確かに小さい物ではあるが、数的にはサンゴが増えているように見受けられ、とても良い傾向に
感じられる。1つ1つのサンゴがまだ小さいため調査エリアに入ることができず、調査結果の数値に
反映されるまで大きくなるにはまだ時間がかかるのだと思われる。サンゴの数が増加傾向にある
のは喜ばしいことだが、上記見解にもあるように気になる現象があることも事実である。
右半分が最近死んだと思われる
オヤユビミドリイシ
弱いイシサンゴ目が斃死した後の
空間をソフトコーラルが占拠する

藍藻類に覆われて斃死した
ベニハマサンゴ

上の写真のようにいまだに病気等で死んでいるサンゴや、今までハードコーラル(石のように硬い
サンゴの仲間)だった場所に、ソフトコーラル(ゴムみたいに柔らかいサンゴの仲間)の発生が著
しく、ハードコーラルの発生ができない状態であったりする。これらの原因は一説によると水質の
悪化も考えられると言われている。せっかく増え始めた小さなサンゴたちが水質悪化などで病気
になってしまっては、ぜんぜん意味が無くなってしまいます。これは与論島住民(特に大人の人や
行政に携わっている人)の意識の向上に関わってくると思っています。そのような状況の中1つ
明るい話題もあります。本年はリーフチェックが行われる日を『ウル(与論の方言でサンゴを意味し
ます)の日』とし、海の環境を考えようとする活動の一環で、ボランティアによる調査を目的とした
初のビーチクリーンアップ
(海岸清掃)も合わせて行われました。
調査を目的とする初のボランティアによるビーチクリーンアップ。
その調査結果は以下のようになりました。
飲料用ペットボトル   138個 プラスチックの破片   229個 漂白剤等の容器    15個
飲料用ビン 49個 サンダル・スリッパ 27個 電球 13個
飲料用カン 37個 漁業用ブイ・浮き 79個 タバコのフィルター 27個
ペットボトル等の蓋 88個 漁網 17個 ライター 37個
アウトドア用ガス
カートリッジ
1個
流木等木片 多数 発泡スチロールの破片 
(保冷容器・船舶ブイ等)
多数
参加者がクリーンアップの説明を聞いています。
「コースタルリゾートビーチ」を掃除しました。
わずか数時間で、これだけのゴミが回収されました。
漁具等が多く見受けられるのが気になります。
当日は宿泊施設・観光業・役場関係者をはじめとする多くの島民のほかに、遊びに来られていた
ダイバーの方までが参加され、総数50名の方々がビーチクリーンアップに参加していただきました。
今回は開発中でほとんど使用されていないはずの「コースタルリゾートビーチ」でのゴミ回収となり
ましたが、人の出入がないはずなのに、上の写真のように大量のゴミが回収されました。
普段人の出入りがほとんどないビーチなので、放置によるゴミはほとんど無いと考えられ、
大部分が海から流れ着いた物と考えられる。しかしそのゴミがどこから流出したのかが問題
である。最近話題となっている中国・韓国方面より流れ着いたと思われるゴミも含まれては
いるが、与論島においてその量はまだ多くはないと思われ、その大半は日本語表記のもの
である。また以前、海岸に漂着するゴミの研究をしている大学の先生の発言の中に、与論島の
漂着ゴミで独特の物として『アウトドア用のガスカートリッジ』をあげており、今回のゴミの中にも
含まれていました。これは大潮の干潮時に浮上したリーフの上でサカナや貝を拾う伝統的な
風習『イザリ』のときに発生するゴミだといわれている。この『イザリ』の時にガスカートリッジ式の
ランタン(照明具)を使用するのだが、使用後のカートリッジを無造作に海に捨てる人が多いと
いわれている。また漁具類も多く回収された事も気になる部分である。多種多様な浜辺のゴミ
だが、少なくとも地元からのゴミの流出を防がなくては、与論島の海の環境を守ることはでき
ないと思う。今回のビーチクリーンアップおよびリーフチェックの結果報告を島民(私たちを含め)
1人1人が意識し、環境にやさしい生活を心掛けなくてはいけないと考えます。
リーフチェック与論2005Part1日程
開催日 場所
事前説明会 2005年6月10日 与論町防災センター
調査 2005年6月11日 茶花漁港北西沖
let’reef checkのページに戻る。
リーフチェックならびビーチクリーンアップの参加された皆さん
本当にありがとうございました。