今回のリーフチェックは、一般ボランティアダイバーの募集をしましたが、残念ながら島外の ボランティアダイバーの参加がありませんでした。しかし島内の一般ダイバーの参加が増え スタッフを含めた参加者の合計は11名。地元の人の関心が高まってきたことを示している 今回のリーフチェックでした。 また沖縄でサンゴの研究をなさっている入川暁之氏をチーム サイエンティスト(専門的な科学者)に迎え、久し振りに本格的に科学者からの意見を伺える ことができたリーフチェックになりました。 |
今回も例年通り6月のリーフチェック(以下RC)は、北側の茶花漁港北西沖のポイントで 調査をしました。ライセンス取得後の初ダイブが、今回のリーフチェックダイブと言う方も いましたが、さすが与論島の島人(シマンチュ・生まれも育ちも与論島の方)慣れ親しんだ 与論の海をしっかり調査されていました。参加者が11名だったと言うことで午前中に深場 浅場の調査ポイントを1ダイブずつ合計2ダイブ言うタイムスケジュールで行われました。 |
地元ダイバーの意識が高まったぞ!! |
移住組みのベテランダイバーと サイエンティストの入川氏 |
観光協会長と現地ガイドダイバー お2人は生粋のシマンチュです |
リーフチェックは初挑戦。 現在与論在住のタビンチュダイバー |
水深 | 5m | 12m | ||||||||||
実施年 | 05 | 04 | 03 | 02 | 01 | 00 | 05 | 04 | 03 | 02 | 01 | 00 |
チョウチョウウオ科 | 13 | 8 | 7 | 9 | 12 | - | 6 | 11 | 15 | 8 | 6 | - |
イサキ科 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - |
フエダイ科 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - |
サラサハタ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | - |
ハタ類(30cm以上) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | - |
メガネモチノウオ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - |
カンムリブダイ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - |
その他のブダイ科(20cm) | 11 | 16 | 3 | 9 | 8 | - | 11 | 13 | 0 | 0 | 5 | - |
ウツボ | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | - |
水深 | 5m | 12m | ||||||||||
実施年 | 05 | 04 | 03 | 02 | 01 | 00 | 05 | 04 | 03 | 02 | 01 | 00 |
オトヒメエビ | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | - | 0 | 4 | 1 | 0 | 0 | - |
ガンガゼ属 | 2 | 0 | 1 | 4 | 4 | - | 2 | 2 | 8 | 6 | 10 | - |
パイプウニ | 16 | 2 | 19 | 16 | 7 | - | 1 | 1 | 2 | 3 | 4 | - |
食用ナマコ | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | - |
オニヒトデ | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | - | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | - |
シャコガイ属 | 10 | 3 | 22 | 14 | 5 | - | 10 | 8 | 2 | 5 | 2 | - |
シラヒゲウニ | 0 | 0 | - | - | - | - | 0 | 0 | - | - | - | - |
ホラガイ | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | - | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - |
イセエビ属 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - |
分類 | 5m | 12m | ||||||||||
実施年 | 05 | 04 | 03 | 02 | 01 | 00 | 05 | 04 | 03 | 02 | 01 | 00 |
ハードコーラル(HC) | 7 | 13 | 2 | 4 | 3 | - | 13 | 19 | 13 | 9 | 6 | - |
ソフトコーラル(SC) | 2 | 3 | 2 | 1 | 1 | - | 2 | 1 | 4 | 1 | 2 | - |
最近死んだサンゴ(RKC) | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | - | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | - |
富栄養価指標藻類(NIA) | 5 | 4 | 0 | 6 | 2 | - | 32 | 43 | 28 | 16 | 24 | - |
海綿(SP) | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - |
岩(RC) | 85 | 78 | 84 | 80 | 86 | - | 44 | 29 | 44 | 69 | 41 | - |
礫(RB) | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 | - | 1 | 0 | 4 | 1 | 5 | - |
砂(SD) | 1 | 0 | 8 | 7 | 9 | - | 7 | 7 | 5 | 4 | 23 | - |
シルト(SI) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - |
その他(OT) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | - |
@ サンゴ類の回復は緩やかに進んでおり、目に見える変化が現れるにはもう少し時間が 必要である。食害生物・病気発生状況・幼群体の成育状況など、サンゴ類の回復過程 を記録できるような工夫が望ましい。 A 海藻類の出現頻度が高くなっている。優占種を記録しておくことで、富栄養化など水質の 変動についても情報が得られる可能性がある。 B ブダイ類が増加傾向にある。チョウチョウウオ類は食性を分けて記録できれば、底質の 変動も記録できる。 C 対象生物の長期的な記録によって個体数の変動幅が把握できれば「大発生」などの 異変に対する有効な情報となるため、リーフチェック活動は重要な意味を持つ。 |
気になる今回の調査結果は・・・ |
リーフチェックと同じ日に行われた、ビーチクリーンアップに参加した方も、結果報告を聞きに来ました。 |
確かに小さい物ではあるが、数的にはサンゴが増えているように見受けられ、とても良い傾向に 感じられる。1つ1つのサンゴがまだ小さいため調査エリアに入ることができず、調査結果の数値に 反映されるまで大きくなるにはまだ時間がかかるのだと思われる。サンゴの数が増加傾向にある のは喜ばしいことだが、上記見解にもあるように気になる現象があることも事実である。 |
右半分が最近死んだと思われる オヤユビミドリイシ |
弱いイシサンゴ目が斃死した後の 空間をソフトコーラルが占拠する |
藍藻類に覆われて斃死した |
上の写真のようにいまだに病気等で死んでいるサンゴや、今までハードコーラル(石のように硬い サンゴの仲間)だった場所に、ソフトコーラル(ゴムみたいに柔らかいサンゴの仲間)の発生が著 しく、ハードコーラルの発生ができない状態であったりする。これらの原因は一説によると水質の 悪化も考えられると言われている。せっかく増え始めた小さなサンゴたちが水質悪化などで病気 になってしまっては、ぜんぜん意味が無くなってしまいます。これは与論島住民(特に大人の人や 行政に携わっている人)の意識の向上に関わってくると思っています。そのような状況の中1つ 明るい話題もあります。本年はリーフチェックが行われる日を『ウル(与論の方言でサンゴを意味し ます)の日』とし、海の環境を考えようとする活動の一環で、ボランティアによる調査を目的とした 初のビーチクリーンアップ(海岸清掃)も合わせて行われました。 |
飲料用ペットボトル | 138個 | プラスチックの破片 | 229個 | 漂白剤等の容器 | 15個 |
飲料用ビン | 49個 | サンダル・スリッパ | 27個 | 電球 | 13個 |
飲料用カン | 37個 | 漁業用ブイ・浮き | 79個 | タバコのフィルター | 27個 |
ペットボトル等の蓋 | 88個 | 漁網 | 17個 | ライター | 37個 |
アウトドア用ガス カートリッジ |
1個 |
流木等木片 | 多数 | 発泡スチロールの破片 (保冷容器・船舶ブイ等) |
多数 |
参加者がクリーンアップの説明を聞いています。 |
「コースタルリゾートビーチ」を掃除しました。 |
わずか数時間で、これだけのゴミが回収されました。 |
漁具等が多く見受けられるのが気になります。 |
当日は宿泊施設・観光業・役場関係者をはじめとする多くの島民のほかに、遊びに来られていた ダイバーの方までが参加され、総数50名の方々がビーチクリーンアップに参加していただきました。 今回は開発中でほとんど使用されていないはずの「コースタルリゾートビーチ」でのゴミ回収となり ましたが、人の出入がないはずなのに、上の写真のように大量のゴミが回収されました。 |
普段人の出入りがほとんどないビーチなので、放置によるゴミはほとんど無いと考えられ、 大部分が海から流れ着いた物と考えられる。しかしそのゴミがどこから流出したのかが問題 である。最近話題となっている中国・韓国方面より流れ着いたと思われるゴミも含まれては いるが、与論島においてその量はまだ多くはないと思われ、その大半は日本語表記のもの である。また以前、海岸に漂着するゴミの研究をしている大学の先生の発言の中に、与論島の 漂着ゴミで独特の物として『アウトドア用のガスカートリッジ』をあげており、今回のゴミの中にも 含まれていました。これは大潮の干潮時に浮上したリーフの上でサカナや貝を拾う伝統的な 風習『イザリ』のときに発生するゴミだといわれている。この『イザリ』の時にガスカートリッジ式の ランタン(照明具)を使用するのだが、使用後のカートリッジを無造作に海に捨てる人が多いと いわれている。また漁具類も多く回収された事も気になる部分である。多種多様な浜辺のゴミ だが、少なくとも地元からのゴミの流出を防がなくては、与論島の海の環境を守ることはでき ないと思う。今回のビーチクリーンアップおよびリーフチェックの結果報告を島民(私たちを含め) 1人1人が意識し、環境にやさしい生活を心掛けなくてはいけないと考えます。 |
開催日 | 場所 | |
事前説明会 | 2005年6月10日 | 与論町防災センター |
調査 | 2005年6月11日 | 茶花漁港北西沖 |
リーフチェックならびビーチクリーンアップの参加された皆さん 本当にありがとうございました。 |