Reef Check2004Part2
地元および島外の新しいボランティアダイバーが増えました。
今回のリーフチェックは、新しく集まってくれた一般ボランティアダイバーと、初のシマンチュ女性
ダイバーの参加など新しい動きが見え始めました。スタッフレベルの参加者も多く、総数18名の
ダイバーが与論島の南側のポイントの定点調査を行いました。また今回のリーフチェックは、前回
同様、入川暁之氏をチームサイエンティスト(専門的な科学者)に迎えるとともに、九州大学で
サンゴの研究をされている野島哲先生までもがチームサイエンティストとして参加していただくこと
ができました。また野島先生・入川先生の協力の下、与論高校において特別講義までも開催する
ことができました。
リーフチェック与論2005Part2日程
       開催日: 前日ミーティング 2005/11/18(金)与論島防災センター3F
            : 調査日        2005/11/19(土)供利漁港・南東沖
            : 結果報告会    2005/11/19(土)与論島防災センター3F

参加者:総数18名(島外ボランティアダイバー5名 チームサイエンティスト2名 島内ダイバー11名)

当日のコンディション: 天候/曇り 北の風やや強し 気温/20℃ 水温/23℃ 波・うねり/やや強し

※今回は初めて参加される方が多く、午前中1ダイブ目が練習ダイブとし、2ダイブ目を浅場・深場共
  一度に調査を行い、お昼過ぎで調査ダイブを終了しました。
今回の調査をするにあたり・・・
毎年同じ場所で調査をするために、100mのライン(メジャー)を設置する目印のための鉄製の杭やロープを
ポイントに設置し、使用していました。しかし昨年まで使用していた杭やロープが老朽化し、今後ライン引き
に支障をきたすと判断し、新しくステンレス製の杭を浅場・深場ともに15ヶ所前後設置しました。(スタッフと
しては、毎回この目印を捜し出すのが結構大変な作業なんです。)また昨年と今年の台風の影響で、浅場の
70m付近以降の調査ポイントの岩盤が無くなってしまい、今回より70m以降のラインの位置を変更すること
になりました。結果、今回以降、浅場の調査結果が前回までと若干誤差が生じることになってしまいました。
しかし70m地点以降の岩盤が無くなってしまったことを考えると、いずれにせよ同じような調査結果になると
判断し、今回の70m地点以降の変更をするに至りました。
魚類(生息数)
分類/水深 5m 12m
実施年 ’05 ’04 ’03 ’02 ’01 ’00 ’05 ’04 ’03 ’02 ’01 ’00
チョウチョウウオ科 28 11 7 16 27 0 26 23 27 22 31 36
イサキ科 0 0 0 1 0 1 1 0 0 0 0 0
フエダイ科 0 0 0 2 0 0 0 3 0 0 0 0
サラサハタ 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0
ハタ類 (30cm以上) 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 1 0
メガネモチノウオ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
カンムリブダイ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
その他のブダイ科 (20cm) 12 1 3 8 16 0 4 11 7 5 5 0
ウツボ 1 1 0 1 3 - 0 1 1 0 0 -
無脊椎動物(生息数)
分類/水深 5m 10m
実施年 ’05 ’04 ’03 ’02 ’01 ’00 ’05 ’04 ’03 ’02 ’01 ’00
オトヒメエビ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
ガンガゼ属 23 2 0 0 21 10 9 5 5 1 3 0
パイプウニ 10 0 7 8 3 4 1 0 0 1 0 0
食用ナマコ (バイカナマコ等) 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 1
オニヒトデ 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0
シャコガイ属         12 6 12 6 12 10 9 17 12 13 10 10
シラヒゲウニ 0 0 0 - - - 0 0 0 - - -
ホラガイ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
イセエビ属 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
底質(被覆率%)
分類/水深 5m 10m
実施年 ’05 ’04 ’03 ’02 ’01 ’00 ’05 ’04 ’03 ’02 ’01 ’00
ハードコーラル (HC) 21 23 15 21 20 20 29 22 37 23 41 38
ソフトコーラル (SC) 3 3 1 1 0 3 0 0 1 1 2 1
最近死んだサンゴ (RKC) 0 0 0 1 0 1 5 0 1 1 2 1
富栄養価指標藻類 (NIA) 3 1 4 4 4 3 3 8 12 2 7 2
海綿 (SP) 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 2
岩 (RC) 70 71 83 73 74 72 59 59 45 69 44 53
礫 (RB) 1 0 0 0 0 1 2 5 2 1 1 3
砂 (SD) 1 2 0 1 1 1 2 6 3 3 2 1
シルト (SI) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
その他 (OT) 1 0 0 1 1 0 0 0 0 1 0 0
気になる調査結果は?
管理人の個人的な意見・考え
このポイントの調査を始めてから(リーフチェックが始まってから)6年目となるが、多少の上下幅は有る
ものの、結局横ばい状態という結果が続いています。これを良いとするか悪いとするかは受け止める人に
よってまちまちだと思います。しかし現在より少しでも良い状態を見ている者にとっては、納得がいかないと
思うのも理解していただきたいと思います。しかし良くないと思うことばかりではありません。確かに小さい
物ではありますが、幼サンゴの数も少しずつ見受けられるようになっています。ただあまりにも小さく、まだ
計測エリアに入ることができず、数値として現れないというのが現状です。見る人によっては「サンゴが増え
てきたぞ!」と喜ばれると思いますが、手放しでは喜べないと私は思います。この幼サンゴたちが産卵する
ことができるまで最低あと5年以上かかる(サンゴの大きさが直径10cm以上になる必要がある)と言われ
ています。その間に環境の変化や水質汚染等があれば、振り出しに戻ってしまいます。また今回の調査
エリアからは外れていたものの、直径30cmはあると思われるオニヒトデも発見されました。私たちにできる
ことは、できる限り環境にやさしい生活を日ごろから心掛けること。このような調査を続けることによって
環境の変化をいち早く多くの方に伝え、対処する方法を日ごろから考えておくことだと思いました。
今回の調査結果からは・・・

◎ 造礁サンゴ被度は、浅場・深場とも最近1年間で大きな変化が見られなかった。
◎ 調査区域に出現する海藻類には富栄養価の指標となる種は多くない。
◎ 食害は特に観測されなかった。病気のサンゴは今回特に見受けられなかった。
◎ チョウチョウウオ類は多い状態で維持、ブダイ類はやや増加の傾向が見られた。
◎ ガンガゼ、パイプウニには増加傾向が見られた。

                                        というがこと考えられます。
懇親会では、和やかな雰囲気の中
 しっかり意見交換もされてました。
結果発表会には与論中学校の
生徒さんも参加しました。
結果発表会では専門家の
詳しい説明を聞くことができました。
前回同様『ウルプロジェクト』の一環として行われた今回の
リーフチェック。その大きな成果の1つとして野島先生・入川
先生のご協力の下、『ヨロンの美しい海を取り戻すために』と
題した講演会を与論高校の生徒さんを対象に行うことが
できたことです。与論島の将来を担う世代に、自分が生まれ
育った島の海が、今どのような状態にあるのか? 今後この
海を守っていくには、ようなことを考えなくてはいけないか?
感受性の強い若い世代に、多くの現実を知ってもらうのは
とても良いことだと思います。 この講演会がきっかけとなり
高校生が後日ビーチクリーンアップを行うまでに至ったのは
とても素晴らしいことです。大人も見習ってほしいぐらいです。
しかし本当は「汚さないこと」が一番大切だということも覚えて
おいてほしいです。
与論高校の約250名の生徒さんが
先生の講義を聞くことができました。
もちろん今回もリーフチェックと同じ日に、島内ボランティアによるビーチクリーンアップも行われました。
今回もあまり人が入り込まない兼母灯台下のビーチ付近を掃除しました。 前回より参加者は少なかった
ものの、下記の表のような結果を出すことができました。
前回より少ない人数でしたが、1時間程度でこれだけ回収しました。
飲料用ペットボトル   168個 ペットボトル等の蓋 80個 飲料用ビン 40個
飲料用カン 24個 飲料用カンをまとめる
プラスティック製品
12個 食品等発泡トレー 13個
サンダル・スリッパ 36個 使い切りカメラ 1個 漂白剤等の容器    3個
漁業用ブイ・浮き 102個 漁網・ロープ等 17本 電球 1個
プラスチックの破片   500以上 発泡スチロールの破片 
(保冷容器・船舶ブイ等)
500以上 釣り餌容器 3個
タバコのフィルター 10個 ライター 10個 タイヤ 1本
電池類 2個 ガラスの破片 70以上 流木等木片 多数
なお上記の表の色分けは、ビーチクリーンアップを積極的に行っている
団体の集計表を参考に下記の項目で分類した物です。
海岸線や浜辺などでの余暇活動が原因と考えられるもの
(ビーチ用品・レジャー用品・スポーツゲーム・バーベキュー・祭り・道路や周辺から来たと思われるゴミ)
海上や海中での活動が原因と考えられるもの
(個人的ならび商業目的の漁 または船舶等から出たと思われるゴミ)
喫煙に関係するもの
(喫煙行動が原因で出たゴミ)
投棄されたと考えられるもの
(意図的に投棄または放置されたと思われるゴミ)
地域に関係すると考えられるもの
(与論島の海岸や港で多く見られるゴミ)
今回ビーチクリーンアップに参加された皆さんです。 ご協力ありがとうございました。
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リーフチェックを基にするサンゴ礁の再生活動や、汚れてしまった海岸の清掃活動もとても大切な
ことですが、壊れてしまった自然や汚れてしまった場所を元通りにするのは、とても時間がかかり
多くの労力が必要です。 壊したり汚したりするのを防ぐのは、1人1人のちょっとした心掛けだと
思います。 そんな気持ちを持った人が、1人でも増えることを心から願いたいです。