結果報告会の発表から言えること

魚類:      深場においてチョウチョウウオの数が、毎年のように減少傾向を示している。
          これはハードコーラルの減少傾向と種類の変化に、因果関係があると考えられることもできる。

無脊椎動物:  依然ガンガゼは、異常な増加傾向にあると考えられる。これは幼サンゴの育成に影響があると考えられる。
          また調査対象にはなっていないが、レイシガイ属の密度が異常に高いと思われる。

底質:      ハードコーラルは、浅場では低いレベルでの現状維持。深場では徐々に減少傾向にある。

           食害をもたらす生物が原因と思われるものと、環境変化および病気と思われるものも見受けられる。
          また環境の変化を受けやすいミドリイシサンゴ(枝状やテーブル状のサンゴ)の仲間が数を減らし、環境の
          変化に比較的に強いハマサンゴ(塊状のサンゴ)が数を増やしている。一見サンゴの微妙な減少傾向に
          見えるこの状況は、同じ地域でのサンゴの種類の変化をもたらしている可能性が大きいと言える。
魚類(生息数)
分類/水深 5m 10m
実施年 08 07 06 05 04 03 02 01 00 08 07 06 05 04 03 02 01 00
チョウチョウウオ科 20 21 16 28 11 7 16 27 0 13 19 15 26 23 27 22 31 36
イサキ科 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0
フエダイ科 0 0 0 0 0 0 2 0 0 1 0 0 0 3 0 0 0 0
サラサハタ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0
ハタ類 (30cm以上) 1 1 0 0 0 0 0 0 2 0 3 0 0 0 0 0 1 0
メガネモチノウオ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
カンムリブダイ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
その他のブダイ科 (20cm) 19 1 6 12 1 3 8 16 0 9 18 1 4 11 7 5 5 0
ウツボ 0 2 0 1 1 0 1 3 - 1 1 0 0 1 1 0 0 -
Reef Check2008Part2
無脊椎動物(生息数)
分類/水深 5m 10m
実施年 08 07 06 05 04 03 02 01 00 08 07 06 05 04 03 02 01 00
オトヒメエビ 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0
ガンガゼ属 33 22 21 23 2 0 0 21 10 15 10 10 9 5 5 1 3 0
パイプウニ 10 13 8 10 0 7 8 3 4 1 4 1 1 0 0 1 0 0
食用ナマコ (バイカナマコ等) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 1
オニヒトデ 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0
シャコガイ属         17 2 4 12 6 12 6 12 10 0 5 7 9 17 12 13 10 10
シラヒゲウニ 0 0 0 0 0 0 - - - 0 0 0 0 0 0 - - -
ホラガイ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 0 0 0 0 0 0 0 0
イセエビ属 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
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今回も調査に参加してくださった皆さん。本当にありがとうございました。
魚類・無脊椎・底質の各調査班ともに練習ダイブが無いにも関わらず、皆さんデータ取りに貢献していただきました。
サイト管理人の意見

結果報告から言えることは、すべて関連づけて考えられる。魚類の減少は、その隠れ家や餌となりうるサンゴの減少や
その種類の変化がひとつの要因といっても良いと思われる。またガンガゼが異常に増加した場合、餌となる藻類を岩盤から
かじり取るときに一緒に幼サンゴをかじり取り、幼サンゴの生育を妨げる可能性があると言われている。また一般的に
ガンガゼは水のきれいな所には生息しづらいため、水質の状態が良くないことの指標になることも考えられる。
さらにレイシガイの仲間が異常に増加したことも、環境の変化によることと考えても良いと思われ、またレイシガイの異常
増加がサンゴの減少に拍車をかけるなど、負の連鎖が起きていることは、ほぼ間違えないのではと思わずにはいられない。
毎回提言をしているが、地元住民が本気になって環境問題に取り組まなくてはいけないと思う。
またここ数年、ダイビングをしていると透明度が下がったように感じるのは私だけであろうか? 10年以上与論島に通って
くださっているリピーターさんからも、最近そのような声を聞くようになってきたことを付け加えておきたい。
底質(被覆率%)
分類/水深 5m 10m
実施年 08 07 06 05 04 03 02 01 00 08 07 06 05 04 03 02 01 00
ハードコーラル (HC) 11.9 18 17 21 23 15 21 20 20 27.5 21 21 29 22 37 23 41 38
ソフトコーラル (SC) 1.1 0 1 3 3 1 1 0 3 1.9 0 0 0 0 1 1 2 1
最近死んだサンゴ (RKC) 0.6 1.5 0 0 0 0 1 0 1 1 0.6 2 5 0 1 1 2 1
富栄養価指標藻類 (NIA) 1.3 4.4 4 3 1 4 4 4 3 10 10 9 3 8 12 2 7 2
海綿 (SP) 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 2
岩 (RC) 81.9 72 75 70 71 83 73 74 72 54 61.5 75 59 59 45 69 44 53
礫 (RB) 3.2 1 1 1 0 0 0 0 1 4 1.9 4 2 5 2 1 1 3
砂 (SD) 0 0.6 1 1 2 0 1 1 1 1 3.8 1 2 6 3 3 2 1
シルト (SI) 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0
その他 (OT) 0 2.5 1 1 0 0 1 1 0 0.6 1.2 1 0 0 0 1 0
深場:底質(代表的なものをピックアップ)
浅場:底質(代表的なものをピックアップ)
深場:魚類および無脊椎動物(代表的なものをピックアップ)
浅場:魚類および無脊椎動物(代表的なものをピックアップ)
いつものようにグラフにしてみました。
調査結果は、以下の通りになりました。
今回のリーフチェックは久々にお天気がよく、比較的穏やかな海況でのリーフチェックとなりました。。
ここ数年の中では島内ダイバーの参加者が少なめで、総勢15名の参加者となり1ダイブ目が深場・2ダイブ目が浅場
という、一般的な調査方法となりました。初参加のボランティアダイバーもいらっしゃいましたが、順調に調査を進める
ことができました。
前日ミーティング :    2008/11/14(金)与論島防災センター3F

調査日 :          2008/11/15(土)供利漁港南東沖(通称名:ひょうたん島)

参加者 :          総数15名(内、島外ボランティアダイバー7名 島内ダイバー8名)

当日のコンディション : 天候/晴れ時々曇り 南東の風弱 気温/26℃  
                 水温/26℃  波・うねり/弱

結果報告会:         2008/11/15(土)与論島防災センター3F